大阪高等裁判所 昭和35年(ネ)895号 判決 1961年5月10日
事実
被控訴人の売掛代金請求に対し、
控訴人は、請求原因事実を認め、債務免除の抗弁を主張した。
理由
証拠によれば、本件債務免除の意思表示は、被控訴人会社が税負担の関係上控訴人以外の他の債務者数名に対し債務を免除することになり、その通知を社員岡野アケミに発せしめたところ、免除を受ける人の帳簿の記載順序から誤つて控訴人に対してもこれを発したのであるが、被控訴人はこれより先昭和三四年八月一八日本件債権に基き控訴人所有建物につき仮差押決定を得て執行しており、その債権は取立の見込があり、免除の意思は全くなかつた事実を認めることができる。
従つて、本件債務免除は要素の錯誤により無効である。